2011年10月07日
人生・存在、苦しみに対する意味
リレー連載@今、フランクルを読む
"ある励まし ホスピスの心理カウンセラーの経験から"
斉藤啓一(作家、心理カウンセラー)
月刊「春秋」2011年10月号p.1~4。から抜粋。
本文は買って読んでください。71円。
「夜と霧』や『人間とは何か』によって著されたフランクルの
思想が、実際の医療現場でいかに活かされ得るかについて、
ホスピスの心理カウンセラーの経験をもつ私自身の体験を
もとに、ささやかな論考を進めてみたい。
ホスピス、すなわち余命いくばくもない人の緩和ケアにあたる
病院では、しばしば「自分の人生に意味があったのか?」
という苦悩を耳にする。
"ある励まし ホスピスの心理カウンセラーの経験から"
斉藤啓一(作家、心理カウンセラー)
月刊「春秋」2011年10月号p.1~4。から抜粋。
本文は買って読んでください。71円。
「夜と霧』や『人間とは何か』によって著されたフランクルの
思想が、実際の医療現場でいかに活かされ得るかについて、
ホスピスの心理カウンセラーの経験をもつ私自身の体験を
もとに、ささやかな論考を進めてみたい。
ホスピス、すなわち余命いくばくもない人の緩和ケアにあたる
病院では、しばしば「自分の人生に意味があったのか?」
という苦悩を耳にする。
フランクルは、人が意味を見いだせる可能性のある領域を
「価値」という言葉を用いて、次の三つをあげている。
創造価値-広い意昧での労働や活動を通して何らかの創造的な行為を実践すること。
体験価値-愛の体験や感動の体験(たとえば芸術鑑賞)など価値ある体験をすること。
態度価値--避けられない苦悩に対してはそれを引き受ける態度で臨むこと。 丁
態度価値は、フランクル思想の真骨頂ではないかと思う。
これは、絶望のどん底でも救いが存在することを示す福音
そのものであり、患者に対して、計り知れない癒しと励まし、
そして尊厳を与えるものである。ただしそれだけに、奥が深く、
創造価値や体験価値ほど理解が容易とはいえない。というのも、
態度価値には、少なくても一見したところ、創造価値や
体験価値で得られる喜びや満足感、いわば、ある種の報酬と
いうものがないからである。人間は果たして、いかなる報酬も
ない行為に対して、それを行おうという意欲が湧いてくるものだろうか?
だが、少なくても、周囲の人間にとっては、態度価値を
実現した人(の人生)には、誰もがすばらしい意味を感じる
ことだけは、疑いようもない事実であろう。
ここで、態度価値の手本ともいうべき見事な生き方をして
亡くなっていったひとつのケースを紹介する。
こうした態度価値を実行する本人自身は、そこに意味を
見いだすことができるのか?
フランクルによれば、私たちを態度価値に向かわせるものは
「責任」であるという。たとえ他者から称賛されようとされまいと、
絶望的な状況でも気高い態度で臨むことに責任を感じ、その
責任を果たすこと自体に意味と喜びを感じる。これがいわば、
人間の本質であるというのだ。
患者を態度価値の実現へと支援するためには、結局のところ、
医療スタッフ自身が、避けられない苦しみは敢然と引き受ける
という態度価値を実行し、手本となる生き方を機会あるごとに
患者に示すことではないだろうか。
「価値」という言葉を用いて、次の三つをあげている。
創造価値-広い意昧での労働や活動を通して何らかの創造的な行為を実践すること。
体験価値-愛の体験や感動の体験(たとえば芸術鑑賞)など価値ある体験をすること。
態度価値--避けられない苦悩に対してはそれを引き受ける態度で臨むこと。 丁
態度価値は、フランクル思想の真骨頂ではないかと思う。
これは、絶望のどん底でも救いが存在することを示す福音
そのものであり、患者に対して、計り知れない癒しと励まし、
そして尊厳を与えるものである。ただしそれだけに、奥が深く、
創造価値や体験価値ほど理解が容易とはいえない。というのも、
態度価値には、少なくても一見したところ、創造価値や
体験価値で得られる喜びや満足感、いわば、ある種の報酬と
いうものがないからである。人間は果たして、いかなる報酬も
ない行為に対して、それを行おうという意欲が湧いてくるものだろうか?
だが、少なくても、周囲の人間にとっては、態度価値を
実現した人(の人生)には、誰もがすばらしい意味を感じる
ことだけは、疑いようもない事実であろう。
ここで、態度価値の手本ともいうべき見事な生き方をして
亡くなっていったひとつのケースを紹介する。
こうした態度価値を実行する本人自身は、そこに意味を
見いだすことができるのか?
フランクルによれば、私たちを態度価値に向かわせるものは
「責任」であるという。たとえ他者から称賛されようとされまいと、
絶望的な状況でも気高い態度で臨むことに責任を感じ、その
責任を果たすこと自体に意味と喜びを感じる。これがいわば、
人間の本質であるというのだ。
患者を態度価値の実現へと支援するためには、結局のところ、
医療スタッフ自身が、避けられない苦しみは敢然と引き受ける
という態度価値を実行し、手本となる生き方を機会あるごとに
患者に示すことではないだろうか。
Posted by 伝兵衛 at 12:08│Comments(0)
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