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2017年09月28日

依存症は本人の意思ではどうにもならん


上村忠男、”中動態の世界”、月刊みすず、
2017年9月号 p.52~53.から抜粋。

インド・ヨーロッパ語族の動詞の態に、能動態
と受動態以外に「中動態」と呼ばれる態がある。
國分功一郎の新著「中動態の世界--意思と責任
の考古学』(医学書院、2017年)はエミール・
ぺバンヴェニストに依拠しながら、意志および
責任の倫理にまつわる問題との関連で「中動態」
の世界を論じる。
 本書の冒頭には、薬物・アルコール依存症の
女性をサポートするダルク女性ハウスの代表
で、自身もアルコール依存の経験がある上岡
陽江とのやりとりをもとにしたという架空の対
話が「プロローグ」として置かれている。
そのなかで、上岡とおぼしき女性から依存症患
者の話しを聞いた國分とおぼしき男性が
<<そういう話しを聞くと、どうしても「しっ
かりとした自己を確立することが大切だ」と思
ってしまう自分がいるんですが・・・》と率直
な感想を述べる。すると、女性のほうでは
<<まあ私たちっていつも、「無責任だ」「甘
えるな」「アルコールもクスリも自分の意志で
やめられないのか」 って言われてるからね》
と応じたうえで、《アルコール依存症、薬物依
存症は本人の意志や、やる気ではどうにもでき
ない病気なんだってことが目本では理解されて
ないからね》とそうした言葉が投げかけられる
理由を説明する。そして男性が<<でも、やっ
ぱりまずは自分で「絶対にもうやらないぞ」と
思うことが出発点じやないのかって思ってしま
う》と述べたのにたいして、女性のほうでは
<<むしろそう思うとダメなのね》と答える。
《しっかりとした意志をもって、努力して、
「もう二度とクスリぱやらないようにする」
って思ってるとやめられない>>というのであ
る。
このプロローグからは、本書執筆の動機がどこ
にあったのかがわかる。「あとがき」には
<<「責任」や「意思」を持ち出しても、いや
それらを持ち出すからこそ どうにもできなく
なっている悩みや苦しさが そこにはあった>>
ともある。




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