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2007年10月26日

薬物依存は刑罰で改善できず

君たちのために
 
井垣 康弘 弁護士
産経新聞2007年10月24日 夕刊

前回の続きを。このお肉屋さんの場合、実刑か再度の
執行猶予かどうしても決断できず、悩みながら散歩に
出かけた。店の前を通りかかったのは偶然だが、
「当然閉店」と思い込んでいたのに、目にした光景は、
被告人とその妻が店頭に寄り添って並び、
満面の笑みをたたえながら客に愛想良く対応している姿
であった。「明日から閉店するにせよ、今日一日のお客さんを
大事にしよう!」と頑張っている姿勢が「ドーン」と伝わって
きた。夫婦仲のよさも分かった。

 私は、この店を閉鎖させ、夫婦を1年も切り離すのは残酷す
ぎると直感し、再度の執行猶予に決めた。翌日の判決には、実
刑(即時収監)を予測して妻が下着を風呂敷に包んで持参して
いたが、宣告後、被告人夫婦は傍聴席で抱き合って人目もはば
からずうれし泣きし、風呂敷包みを忘れて帰った。

以後約30年覚醒剤の自己使用に対する対応は、司法による
厳罰化が進展し、受刑者1人につき1月あたり20万円強の経費
も掛かるのに、初犯とその執行猶予中の再犯分を合わせて、
3年半も刑務所に入れる。しかも、薬物依存は「病気」であり、
刑罰によっては改善されないから、以後の再犯も防げない。
本人にとっても、社会にとっても、悲惨な状況になってきている。

 ところが最近、刑務所で受刑者に対して「薬物依存離脱指導」
のプログラムが実践され始めた。指導目標は、①薬物依存につい
ての理解②薬物使用の原因や責任の自覚③出所後の再使用防止のた
めの具体的方策の検討④出所後の生活設計-の4つである。

 他方で、薬物依存者のリハビリ施設「ダルク」(自助グループ)
が目標としている「回復」とは、①規則的で健全なライフスタイル
の確立②自分と向き合い、自分が依存症であることを受容する③同
じ問題に直面している仲間への共感をベースによく聞きよく語り合う
④薬物を使わない新しい生き方を目指し、今日一日は薬を使わず、
精いっぱい生きようと頑張る-の4つである。

 刑務所での離脱指導とダルクでのリハビリがつながれば、これは
画期的な前進である。ダルクは、近藤恒夫さんが21年前に立ち上げ
たものであるが、その著書「薬物依存を越えて」(海拓舎)は
感動の名著である。

 また、最近石塚伸一編著「日本版ドラッグ・コート」(日本
評論社)が発売された。「帯」に近藤さんが書いている。
  「厳罰主義で失敗したアメリカの薬物対策の二の舞を踏んで
はいけない。薬物依存からの回復は、自分が依存症だと認める
ことから始まる。司法関係者には気づいてほしい。『ダメ。ゼ
ッタイ。』だけでは薬物は止められない。回復しようとしている
人たちを閉じ込めるだけではなく、援助してほしい。本書は、
いまを変えようとしている研究者たちの『爽やかなチャレンジ』
である」。



Posted by 伝兵衛 at 16:49│Comments(0)
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