QRコード
QRCODE

和歌山の情報発信
ブログポータル

ログインはTOPページで
私も作ってみる


[PR] 和歌山情報ブログでチェックイコラブログ
[PR] 商品ページ1ページからリニューアル!!楽天ヤフーOK!現在キャンペーン


アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 4人
プロフィール
伝兵衛
伝兵衛
オーナーへメッセージ

2012年05月07日

巡礼で引篭もりが治ることもある

安田登、”東北を歩きながら、考えたこと”月刊「春秋」2012年5月号、p1~4.
★から下は 抜粋です。後半 追記からの部分、特に「子どもとしての
自己を切り捨てる」というのは 分かりませんが、世の中には 分から
ないことの方が多いので しかたない。。
原文は買って読んでください。定価71円。安いのはPR誌だから。
◎引きこもって 薬物を濫用する人も あるのでしょうか? 籠もり
ながら非行するというのも 理解しにくいし、私の回りに そういう
例はなかった。

★ この数年、引きこもり・ニートと呼ばれる若者たちと一緒に、
芭蕉の『おくのほそ道』を追う旅をしている。一日約八時間、一回の
旅で一週間以上は歩く。旧道を探しながら歩くので、迷いながら歩く。
芭蕉や曾良の立ち止まったところでは彼らも句を詠み、そして
歩きながら連句をしたりもする。
 不思議とこの旅に参加した若者の多くは引きこもりをやめる。
私は心理学の専門家ではなく、ただの役者なのでその理由を
云々する力はないが、どうも彼らの中に説明できない変化が
起きているようなのだ。その萌芽は旅の途中の句の中に現れる。
この旅では雨が降っても歩く。
ちょうど日光の杉並木にかかった時、雨があがって陽が射した。
そのときひとりの参加者が句を読んだ。
 「旅の空 わが人生に 光射し」
句の巧拙や季語の有無などは問うべきではない。この句を
得てから彼の姿勢が変わったのだ。下を向いていた彼の顔が
上がり、顔に光が射した。
巡礼で引篭もりが治ることもある

芭蕉の旅は、西行(さいぎょう)を追慕する旅だといわれている。その西行のした
もっとも重要な仕事のひとつが、日本最大の怨霊である崇徳院(すとくいん)の
鎮魂である。芭蕉はそして、平泉において源義経の霊を鎮魂してその怨霊化を
防いだ。『おくのほそ道』はさまざまなコード(暗号)を読み解きながら、その
鎮魂プロセスを追体験する書であり、その詳細は「身体感覚で「芭蕉」を
読みなおす。』に書いた(春秋社、1890円)。
非業の死を遂げた死者の終焉の地にわざわざ訪れ、亡者の残恨の思いに
共感して涙を流し、そして「うた」を詠むことによって鎮魂は完成する。亡者と
生者との境を一時的に取り払い、そこに新たな時空を出現させることから
鎮魂は始まる。
 怨霊を鎮魂するという仕事は、社会のルールとは別の世界に生きる僧
だからこそできる仕事であり、この鎮魂という作業を芸能化したのが
能楽である。
 「鎮魂」とは すなわち、あちらの世界に追いやってしまった何者かを
ときどきこの世に招いて、そして存分に語り、ときには暴れていただき、
再びあちらの世界に戻っていただく作業である。
「おくのほそ道」の旅で、若者の心の中で知らず知らずに進んでいた
作業もこれだったのではないだろうか。
 
 大人になるためには、子供としての自己を切り捨てる必要がある。
かつての日本には、そのための仕組みが、さまざまな通過儀礼として
用意されていた。が、そういう仕組みがなくなった現代、「初心」の
作業は個人に委ねられる。
 それがうまくいった人はいい。しかし、切り捨てた自分、遠藤周作風に
いえば「わたしが・棄てた・わたし」が怨霊となって、その自立を阻止
したり、足を引っ張ったりして、社会との関わりを持つことの邪魔を
することが多い。
 ともに歩いた彼らは、「わたしが・棄てた・わたし」との付き合い方に
失敗してきた人たちだろう。「わたしが・棄てた・わたし」は、能のように
夢に現れては鎮魂を求めるのだが、私たちはふだんそれを無視する。
本当は ときどきは切り捨てた自分を再び意識の表にのぼらせて、
思う存分 暴れさせて鎮魂することが必要なのだが、ふつうの状況で
それをやってしまっては無意識の奔流に呑み込まれて精神に異常を
来たすことだってあるだろう。だから防衛しているが、句にまとめる
ことによってそれが可能になった。
 
 一緒に旅をした彼らも、句を作ること、すなわち五七五という定型に
思いを収斂させることによって、切り捨てた自分と出会い、そして
鎮魂することができたのではないだろうか。
やすだ・のぼる▼能楽師、公認ロルファー。


タグ :引きこもり

同じカテゴリー(こころのケア)の記事画像
お城の清掃・交流の場に
「ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出な い事態に耐える力」帚木蓬生著
児童相談所は家庭への介入を増やしている(6最終
児童相談所は家庭への介入を増やしている(5
児童相談所は家庭への介入を増やしている(4
児童相談所は家庭への介入を増やしている(3
同じカテゴリー(こころのケア)の記事
 お城の清掃・交流の場に (2022-03-18 21:37)
 「ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出な い事態に耐える力」帚木蓬生著 (2020-01-03 12:47)
 児童相談所は家庭への介入を増やしている(6最終 (2018-05-01 20:50)
 児童相談所は家庭への介入を増やしている(5 (2018-04-30 17:26)
 児童相談所は家庭への介入を増やしている(4 (2018-04-29 18:39)
 児童相談所は家庭への介入を増やしている(3 (2018-04-28 18:30)

Posted by 伝兵衛 at 13:55│Comments(0)こころのケア
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。