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2012年01月11日

ライファーズ(終身刑受刑者)償いと回復の道標10(その三

ティワナから
坂上 香(さかがみ かおり)津田塾大 准教授、映画監督。

月刊「みすず」2011年12月号 p.54~65から抜粋。本文は
買って読んでください。315円。今年この連載は本になると
思います。本が出たら買ってください

◎仮釈放と強制送還
 2009年三月初旬、携帯電話にLAからの着信があった。
留守録に残された伝言は、犯罪者の更生施設「アミティ」のLA支部の
代表者マーク・フォーセットからだった。「レイエスが釈放される。48時間後だ。
ティワナに強制送還される。電話をくれ。」
 レイエスといえば、カリフォルニア州に服役する三万人を超える
ライファーズの一人であり、15年余り取材を続けてきた取材対象者の
一人であった。

レイエスの仮釈放の知らせを聞き、とにかく彼に会いにいくことにし
LAに到着したのは、電話がきてから三日後のことだった。
私たちはサンディエゴの先にあるティワナというメキシコの町に
向かった。レイエスが強制送還された場だ。
 マークは、すでにレイエスに再会してティワナから戻ってきた
ばかりだった。ティワナは治安が極端に悪く、米国務省が渡航禁止令
を出していたこともあり、私が一人で行くことに彼は強く反対した。
そして、自ら進んで同行を買って出てくれたのだった。
彼は、弁護士である父親と離婚した母親のもとを行ったり来たり
しながら育った。中学生の頃から覚せい剤を使い始め、十六歳の
時に逮捕された.少年院に行く代わりにアリゾナ州のアミティに
送られ、そこで足を洗った。その後大学に入り、別の薬物回復
施設で働いた後、アミティに戻ってスタッフとなった。
 もう一人はダグという若いインターンの男性だった。母親は
売春婦で、父親は売春斡旋人、両親共に薬物依存者の家庭に
生まれた。ネグレクトで養護施設や里親家庭を転々とした。
一年ぐらい前まで、州や国をまたがる大規模な違法薬物取引の
ピジネスを展開していた。

◎ 再会
ティワナはメキシコ最北端に位置する大都市だ。その治安の悪さは有名だ.
レイエスの希望で、マークは ティヮナに暮らすギャビという受刑者
仲間にも連絡をとり、二人を引き合わせたりもした。しばらくティヮナで
暮らしていかざるをえないレイエスには仲間やサポート体制が不可欠
だったが、犯罪行為に手を染めている仲間はまずい。ギャピが
ギャングから足を洗い、敬虔なカトリック教徒となったこと。コンピューター
関係の仕事をしていて、家族を大切にしていると聞いて安心した
ようだった。(続く)


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Posted by 伝兵衛 at 08:19│Comments(0)薬物依存症
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