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2007年12月06日

被害者からの手紙に涙 井垣康弘

君たちのために 井垣康弘

産経新聞 夕刊 2007年12月5日

被害者からの手紙に涙 

関東の全寮制の進学高の2年生。悪友に誘われ、「オヤジ狩
り」と「ひったくり」に1回ずつ加担した。半年後に逮捕、
実家に近い神戸少年鑑別所へ移され、私が審判した。

 付添人弁護士は鑑別所の中から両被害者におわびの手紙を
送らせた。末尾には「ボクは被害者の方々のために何が
できるでしょうか。教えてください」と書かれていた。

 まず「オヤジ狩り」の被害者から返事がきた。30代半ば
の会社員である。
  「暗い夜道で背後からいきなり襲われ、顔もまったく
覚えておらず、犯人が捕まることはあるまいと思っていた。
犯人本人からこのような謝罪文が届いたことに、良い意味
で大変驚いた。
 被害当時は本当に殺されると思った。犯人と格闘しながら、
恐怖感とともに『こんな田舎の竹やぶの傍らで自分は
死体で発見されることになるのか』と、とても悲しかった。
現在けがも治ったが、今でも夜道を歩いていて後ろから人
の足音が聞こえると、ハッとして振り向く変な癖が身に
付いて困っている。

 神戸出身の高校生の君がなぜ関東でこの事件をおこなった
のか、その訳はあえて聞かないが、いくら謝罪をしてもら
っても、今後再び同じようなことを別の場所で繰り返す
ことがあれば何の意味もない。

 深く反省して、一生決してこのようなことをしないこと、
できれば毎日少しずつでも世の中の役に立つことをおこなう
ことが最も大切な謝罪である。そのことを心に深く深く
刻み込んで日々精進を続けてくれ。私も君が毎日その努力
をしてくれていることを一生信じ続ける」

 次に、「ひったくり」の被害者からの返信がきた。80歳
過ぎのおばあちゃんである。
  「お手紙ありがとう。あの時は薄暗く、まだ若い美育年
という印象が残っているだけで、あなたの顔も良く覚えて
いません。 
実は、80歳を過ぎ一生をもう終わろうとする時期になって
初めて分かったことがあります。それは、最後に自分の
一生に一つも悔いがない、いい人生であったと思えたら
どんなに幸せかということです。

 私の場合、孫にも言っていない事柄ですが、幼いころ母が
肺病で死に、祖母に大切に育てられたのに、節約して
お金持ちになりたい 一心で、年老いた祖母に当たり散らし、
いろいろと邪険な扱いをしてイジメました。そして90歳で死
ぬまで悲しい思いをさせました。 年寄りを粗末にして節約
したお金に値打ちはありません。身体の自由の利かない老人
になって初めてそのことに気付きました。しかし既に遅く、
毎日毎日涙で枕をぬらしています。

 あなたはこれからの人生です。自分の心掛け一つでどの
ような人生でも送れます。どうか悔いのない人生を貫いて
ください。やり直しのできるあなたをうらやましく
思います。懲りずに暇なときまたお便りくださいね」

 被害者からの手紙を審判廷で少年本人に読み上げさせると、
両親の涙が止まらなかった。
           (弁護士)
  


Posted by 伝兵衛 at 17:45Comments(0)